アフリカ竹取物語

ケニアで竹の研究をしている院生の記録

なさけない家出

S君の家には常に人が沢山いる。

そして、お互いにプライバシーを気にしていないので常に大音量でテレビをつけたり

大声で話したりをしている。

 

それがケニアでは普通なのだろうし、特に気にしたくはないんだけど・・・

 

自分がその環境に身を置くとなったら、ちょっと話は別である。

 

落ち着いて本も読めない。

 

 

そんなわけで私はイライラしていた。

S君は基本的に猫みたいなので、私の隣にべったりくっついてくる。

かわいいけれど、本を読んでいる私の横でスマホのゲームをやるのはやめてほしい。

私が「音量下げて。」とお願いすると「一番音量小さいよ?」と言われる。

「でも、うるさい!」と言うとS君は徐にいとこが見ていたテレビを消した。

 

・・・テレビの音はまだ遠いから気になっていなかったのに、というかコレ完全に私が悪者。

家族団らんの場クラッシャーやん。。。

 

 

私はあからさまに機嫌が悪くなってS君にキレた。

おもわず私の口からは「日本で働きたいって言ってるけど、ゲームばっかやってるよね!仕事探したの?日本語勉強したの?S君が外国で働くのなんて無理だよ!」みたいなことが出ていた。

 

豆腐メンタルのS君はかなりショックを受けたようだった。

S君のタイプは、皮肉を言われて這い上がるタイプではない(と思う)。属性としては内弁慶ニートだ(と思う)。

 

あまり彼は努力できるタイプに見えないから、S君が日本で働くことは夢のまた夢のような気はしているけれど、本人の夢なのであれば応援はしたい。それに夢は変わりえるものだし、目標を持つことは人生を豊かにする。

 

私がS君に暴言を吐いた後、S君は私を無視するようになった。

交渉の余地もない。

 

私は心底S君とS君の家の環境にイライラしていたので、翌日、S君が留守の間に荷物をまとめてホテルへ移動した。宿泊費はかかるけれど、今はメンタルマネジメントが最優先だ。

 

 

ホテルでは久しぶりにシャワーを浴びて大きなベッドに寝転がったり小説を読んだりしばし久しぶりのお一人様タイムを満喫した。

 

やっぱり、一人っ子として育って、一人暮らしの長い私は一人の時間が最高なのだ!

VIVA一人!一人は至高!!今私はストレスフリーだ!!!

 

 

そんな時間を過ごしたのも束の間、S君からの電話が鳴る。

出ない・・・という選択肢もあるのだけれど、豆腐メンタルのS君をちょっと可哀想と思ってしまう私はきっとだめんずうぉ~か~。

 

私が急にいなくなったことを知り、電話先でパニックを起こしていたS君は約一時間後にホテルへやってきた。

 

やってきたけど、ムスッとして口を開かない。そして、ホテルのフェンスを蹴り始めた。

こちらとしてはケニア人男性がキレてフェンスを蹴っているビジュアルはかなり怖い。

 

この後、落ち着いてからS君と文法の崩壊した英語とスワヒリ語と日本語を投げ交わす喧嘩を数時間して、なぜか私が号泣してS君に慰められるという不本意な結果になった。

 

結局、何も言わずに家出をしたことでS君の家族も心配しているということで週末明けにとりあえずS君家に出戻りした。

 

 

私は研究者である前に、悲しいかな、ひとりの20代の女なのだ。

1人で強く生きて生きたいけど、誰かに傍にいてほしいし、論理的思考で生きていたいけど、感情を爆発させたくなったりもする。

 

2016年6月9日